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第1回 ロニアの谷

中世スウェーデンの民話に「ロニアの谷」という物語があります。今回は、このお話を取り上げました。

ロニアという少女には恋人がいました。でも、二人の家は以前から敵同士だったのです。ロニアと恋人の家の間には、狭いが深い谷間がありました。この谷を飛び越え損ねたら、死をまぬがれません。

恋人はロニアに会いに、彼女の家にやって来ました。ロニアの父親は娘の恋人を見つけると、憎らしい隣家を屈服させるための人質にしてしまいました。

ロニアは、深い谷の縁に立って、飛び越そうと決めます。もしうまく向う側に渡ることができれば、恋人の家の人質として捕らえられます。そうすれば二人の家はまた互角になる、とロニアは考えたのでした。

しかし、飛び越しそこねたら万事休す。ロニアは転落して死に、恋人は父親に命を奪われてしまいます。谷間を飛び越すには勇気がいります。失敗すれば、悲惨な結果が待っています。しかし、道はひとつ。

ロニアは、勇気を奮って谷を飛んだのです。人には飛ばなければならない時があることを、ロニアは知っていました。

最も安全な道しか選ばない人は、決して谷の向こう側に渡れません。いつまでも好ましくない状態に留まることになるのです。

「真実の瞬間」を著したスカンジナビア航空のヤン・イングヴァー・カールセン・ブラッカー(元サッカー選手であり、その後ビジネス界で成功を収めた)はこう言っています。

人には、時に敢えてリスクに挑む勇気が必要なのである。ビジネスの世界ではそうした跳躍を「強制執行」と呼んでいる。

明確な戦略があれば、強制執行は容易になる。この時に問われるのは、向こう見ずに近い勇気と直感力なのだ。